奪われる26

ゆうくん
2005年03月22日
8,011
――やっと三分。まだ十二分もあるの?お願い、早く終わって!
美奈子は時計の文字盤を眺めながら必死で祈った。
また安西の舌が股間の中心部に貼り付いた。タバコのヤニで荒れているらしいザラザラした表面が、美奈子の繊細な柔肉の上をゆっくりと摩擦していく。
「‥‥うううっ」
思わず鳥肌が立ちそうな、むず痒い刺激が股間の表面に湧き起こる。
感覚が身体の中枢へ潜り込まぬように歯を食いしばって耐えるのだが、電流のようなそれを防ぐ手段はない。線香花火のように火花を散らしながら肉体の内側まで侵入してくる。全身の細胞の隅々まで滲み通っていった。
美奈子の未知の感覚であった。
美奈子は、まだ己の女の部分に顕れた変化に気づいていない。安西の軟体動物のような舌が、二枚貝の上を動くたびに、徐々に亀裂の間隙が広がってゆくのだが、当人には全く自覚がなかった。
この痛痒感に似た感覚が、実は性的快感と本質的には同一であり、やがてやってくる本格的な快楽のうねりの呼び水になるものであるということを、美奈子は知らなかった。
もう何度舌が柔肉の合わせ目を通過しただろう。美奈子は目を固く閉じてただひたすら耐え続けた。
安西はそんな美奈子の表情を上目遣いで時折観察しながら、相変わらず焦らずマイペースで亀裂を舐め上げる行為を続けた。
すでに美奈子の女の門戸は、内部の粘膜の一部が覗けるほど、左右に分かれてしまっている。初めて見る美奈子の深部に安西の胸は高鳴った。
自分の性器がじわりじわりと開きつつあることを美奈子が知ったらどれほどうろたえるだろう。それを考えると思わず顔がニヤけてしまう。
安西がそんなことを頭に浮かべた直後、それが現実のものとなった。
ざらざらする舌先が、二枚の花びらの隙間にヌルッと侵入したのだ。
安西は特に狙って舌先を差し込んだわけではなかった。今まで通り合わせ目を舐め上げようとしたら、思いの外、縦溝が広がっていたので、自然にすっぽりはまりこんでしまったのである。
「えっ?‥‥そ、そんな‥‥い、いやっ!」
美奈子は狼狽した。自分の女の部分がいつの間にか扉を開きつつある現状をようやく知ったのだ。
「ど、どうして‥‥」
次の瞬間、美奈子の身体を戦慄が貫いた。
安西の舌が、二枚の花びらの間に差し込まれたまま、上方へ動き始めたのだ。
鳥の嘴(くちばし)のような柔肉が、狭い通路を無理矢理通行しようとする。
美奈子の女の扉は、ザラつく舌の粘膜に擦られ、左右に道を譲った。舌先はゆっくり亀裂の上端まで責め上がる。
「い、いやよ! だ、だめ!」
嘴状のものが合わせ目の上端まで移動すると、美奈子の狼狽の声が飛んだ。
二枚貝の合流地点の裏側を舌先が軽くえぐったのだ。そこは陰核を内部に秘め、高く隆起した部分である。
むろん、美奈子の陰核はいまだに包皮の下に姿を隠したままだが、その覚醒を促すように下方から突き上げられた。
美奈子は初めての経験に戸惑った。夫の雄二はクリトリスを優しく愛撫してくれるが、こんな風に、裏側から刺激するテクニックなど持っていない。
女体を初めての感覚が貫いた。陰核を直接愛撫される際の電流のような刺激とは違った、鈍く重い感覚だった。それはもはや痛痒感と呼べるものではなかった。まぎれもない性感だった。

「‥‥ううっ‥‥」
美奈子の喉からうめきが漏れた。
――このままクリトリスを刺激されたら‥‥。美奈子を不安が襲う。
が、安西は深入りせず、舌先を亀裂から引き抜いた。
美奈子は一瞬ほっとしたものの、間髪を入れず舌が再度亀裂の下端に差し込まれたのを知って、身体を硬直させる。
一度の通行で亀裂の間隙はより広がっていたので、先ほどよりも深く嘴が突き入れられた。傍若無人に女の扉を摩擦しながら上へ上へと進む。美奈子が一番恐れる陰核の裏側を責めてから、やっと舌先が引き抜かれる。
安西は何度も同じ動作を繰り返した。それにつれて溝が広がってゆく。
「‥‥う‥‥うううっ‥‥」
美奈子の食いしばった歯並びからうめきが漏れる。
安西がようやく舌を口の中に収めたのは、十回以上も往復運動を繰り返した後だった。
すでに美奈子の股間の亀裂は、安西の性技によって大きく開かれてしまっている。しかも二枚の花びらは再び閉じる気配を見せなかった。
船底型の粘膜が安西の前に姿を現した。
安西は舌の動きをしばし止めて見入った。ようやく美奈子の羞恥の源泉までたどり着いたのだ。感無量だった。
人妻ではあるものの性体験の少ない美奈子の“そこ”は綺麗なピンク色をしている。ポツンと針でつついたような尿道口の窪みが可憐だった。最奥への入り口は、何重にも折りたたまれた襞肉が覆い、厳重に守られているので視界に収めることはできない。
「‥‥ああっ‥‥お願い‥‥見ないで‥‥」
哀願の声だった。聖地を守る最後の門がもろくも突破されてしまった以上、安西の目の前にどういう情景が展開しているか容易に想像できる。
夫の雄二でさえ、こうも明るい照明の下で花弁の内部を覗き込んだことはない。
激烈な羞恥で反射的に両足を閉じようとするが、股間の中心には安西の頭部が貼り付いているうえに、左右の太ももには土方のような男の腕が回され、閉じられないように押さえ込んでいる。
すでに両手の自由を奪われている美奈子にできるのは、紅潮した顔を右へ左へと振ることだけだった。
安西はちらりと目覚まし時計に視線を送った。七分が経過している。あと八分だ。
安西は再び舌を突き出した。亀裂の内部に侵入させる。
「うううっ!い、いやっ!」
舌の先端が船底の粘膜に接触した瞬間、つんざくような悲鳴が寝室中に響き渡った。
亀裂の内部の形状を確認するように、花びらの内縁に沿って舌が動いた後、船底の下部に狙いをつける。
そこは最奥への入り口を、複雑な形状の襞肉が幾重にも重なって覆っている。
安西の舌先は粘膜の襞をめくり上げると、チロチロと弄び始めた。襞肉を掘り起こし、一枚一枚しゃぶり尽くすように嬲ってゆく。時折舌先の方向を変え、陰核の裏側をつつくのも忘れない。